現在、卓球界ではシェークハンドのラケットが隆盛を極めていますが、これがいつまでも続くとは限りません。
これは、卓球の人気選手がシェークハンドのプレーヤーであったり、小さなルールの変更や、新しいレシーブ技術の開発などへの対応が、やや遅れているなどの理由が重なったというタイミングもあるかと思います。
言いにくいことですが、商業的に言えば、ラバーが2枚売れた方が2倍儲かりますから、そのほうが卓球業界が潤うわけで、ペンホルダーを無理にオススメする理由はありません。
しかし、ペンホルダーは魅力的なラケットです。
肘をうまく使ったバックハンドスマッシュを決めた時の脳内に分泌される快感物質の量はシェークハンドを遥かに上回るでしょう。
ペンホルダーのラケットの持ち方に決まりはありませんが…
後ろ側の指を広げるのだけはNG
ペンホルダーのラケットの持ち方に、特に、こうしなさいという決まりはありません。
しかし、ラケットの裏側の3本の指を広げて持つことだけはオススメできません。
町の卓球場や児童館で卓球をする、初めて卓球をするような人に見かける持ち方です。
ラケットの後ろ側の指を開いていては、ラケットを返す(指先で転がす)ことができないので、ショートなど、バック側のボールの処理が難しくなります。
と、説明してみましたが、初心者が、この持ち方をしていたら、説明などなく、否応無しに直されるでしょう。
戦型にあった持ち方を考えましょう
ペンホルダーの持ち方は本人が持ちやすいように、持てば良いと思いますが、それでも持ち方によって、打ち方に違いが出ます。
ラケットの裏面の指の向き
ラケットの裏側の指の向きはスイングフォームにも影響を及ぼします。
指の腹をラケットに当てるスタイル
ペンホルダーのラケットの裏側の指、主に中指の、指の腹を当てて持つスタイルは、
手の平の面とラケットの打面の向きが近いので、ラケットを手の平の感覚で扱うことができます。
前ならえをした時に、打球面が真横を向くような持ち方です。
シェークハンドのフォア面の感覚と似ていると言っていいでしょう。
しかし、このスタイルだと、バック系の腕の使い方が多少難しくなります。
ショートをするときは、指でラケットを転がす必要がありますし、バックハンドを打つには、ずいぶんと前腕を捻らなければならなくなります。
これは、時間のロスになります。
これはに対して、シェークハンドのバック側のプレイでは前腕を捻る必要がほとんどありません。
バック側の対応の難しさがペンホルダーの衰退の一因とも言われるのはこのあたりが要因の1つではあります。
しかし、この持ち方でも、ペンホルダーの裏面打法を完璧に身につければ、克服どころか優位に立つことも可能です。
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指の横腹をラケットに当てるスタイル
前ならえをした時に打球面が斜め上〜上を向く持ち方です。
台上のプレーやバック側の操作もしやすい、オールラウンドのプレイに向いた持ち方です。
このスタイルでは、肘関節を曲げた時に出来る面とラケットの打球面に、角度が最初からついています。
従って、スイングした時に、「押す力」が強く働きます。
シェークハンドの場合は「押す力」を加えるには、スイングに「平手打ち」の要素を入れることになりますが、ペンホルダーのこの持ち方では、無意識に「押す力」が伝わります。
その代わり、ラバーの摩擦を使ってスピンをかけるように振る場合や、相手の強いトップスピンのかかったボールをレシーブする場合、打面を下向きにするために、やや、肘を上げるようなフォームになります。
一長一短ではありますが、シェークハンドとは根本的に違う部分を、より長所として、活用していくべきでしょう。
ラケットの裏面の指の位置
ラケット裏側の指の位置は、センターから右側(下側)にずらす程、従来のバックハンドを振る場合、前腕の捻りが少なくて済みます。
フォアでは、下回転のボールに対して、角度打ちはし易い反面、打面を下向きにして打ち下ろす時は、肘を上げなければなりません。
裏面に当てる指は、軽く曲げるのがオールラウンドに対応できる位置です。しかし、そういった概念にとらわれずに、自分が握りやすい方法を探すことが特徴的なプレーを見つけ出すことになることもあります。
基本に忠実なことだけが正しいとは限りません。
箸を使う日本人だからこそ
日本人は箸を上手に使います。指先の感覚は研ぎ澄まされていると言っていいでしょう。
ペンホルダーは日本人に向いたラケットです。
スイング中に、指先で少しだけ打面の角度を変えるだけで、微妙な変化を作り出せますし、台上のプレーも変化を作り出せるラケットです。
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指導者にもペンホルダー使用者は多い
現在の卓球界ではシェークハンドのラケット全盛の時代ですが、40代、50代の指導者や顧問の先生方には、現役時代はペンホルダーの使用者だった方々が相当おられます。
元ペンホルダー使用者のコーチからは、テクニックを教わる際に、イメージを共有しやすいはずです。
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