卓球を初めて間もない方には、ボールに回転をかけるサービスが効果的に感じられるでしょう。
実際、縦、横、斜めの回転をかけたサーブは相手を翻弄するのに効果的です。
そこにもう一つ加えて欲しいのが、無回転のサーブ、
『ナックルサーブ』です。
いろいろな球技でも使われているナックルサーブの威力
球技において「無回転」のボールは、対応しにくい不規則な弾道や球質で、受ける選手にとっては扱いづらく、出す側のプレーヤーが有効に使えばとても効果的な球質です。
戦術の幅を広げるためにもぜひマスターしましょう。
その前に、なぜナックルが効果的なのか他のスポーツの例も含めて考えてみましょう。
野球におけるナックルボール
野球におけるピッチャーが投げる無回転のボールは、
- ナックルボール
- フォークボール
- スプリットフィンガードファストボール(split-finger fastball)(SFF)
などがあります。
これらのボールの球質は「揺れながら落ちる」のが特徴です。
ボールが回転していないので、縫い目によってできる空気抵抗が不規則で、どんな変化をするか投げたピッチャーも分からないといったことが起こります。(特にナックルボール)
卓球のボールに縫い目はないので、「どこに行くか分からない」というような変化は起こせないと思いますが、
通常のロングボールの軌道やスピードに目が慣れている途中にナックルボールを挟めばミート率を下げる効果はあります。
サッカーの無回転フリーキックの威力
中村俊輔選手のように、回転をかけてボールを曲げるフリーキックが、卓球でいうスピンを効かせた横回転サーブだとすれば、
元日本代表の三浦淳宏さん、そしてW杯のデンマーク戦のフリーキックをご覧になった方もいるでしょう、本田圭佑選手が度々決める技も、ボールに回転がかからないようにキックする、
無回転フリーキックです。
本田選手の使う無回転フリーキックも、野球のナックルボールと同じ、揺れながら落ちる。
または、揺れながらどう曲がるか予測できないボールです。
動画を見ていると、ゴールキーパーは、球質だけでなく。距離感、いつ自分のところに到達するかの時間の感覚のズレを起こしているのがわかります。
そしてファンブルしたり、手が届きそうなのに手をすり抜けたりということが起こります。
バレーボールでも無回転サーブ
バレーボールのサーブにも無回転サーブは使われます。
野球もサッカーもバレーボールもみな同じ です。
球質は「揺れながら落ちる」または「伸びて行く」。
バレーボールのサーブの場合は、サービスの時にボールの空気穴の位置を下に向けたり、こちら側に向けたり、またはその逆など、空気穴の位置によっても、球質に変化をつけられます。
ゴルフでは無回転がミスに
ゴルフも球技ですので無回転にまつわる話はあります。
ゴルフでは、ドライバーという一番飛ばしたいクラブで打つ時は、スピンが少なくなるように打ちます。
ボールが回転し過ぎて高く上がり過ぎ飛距離をロスしてしまうからです。
同時に回転の少ない球質はフェアウェイに落ちてから良く転がるので飛距離をかせぐことができます。
逆に、短い距離を打つ場合はボールをコントロールするためにスピンの効いたボールを打たなけらばなりません。
しかし、ラフという芝が長いところからボールを打つと、ボールとクラブフェースの間に芝が挟まってしまい、ボールにスピンがかからなくなってしまいます。
そうするとボールがコントロールできなくなってしまい、狙った距離よりも飛んでしまうというミスが起きます。
グリーン上にボールが落ちてもピタッと止まらずに、転がってしまいます。
ボールの回転量の違いでミスが起こるのは卓球と同じですね。
ナックルサーブを有効的に使うには
上に記したような無回転ボールによる効果は、卓球にそのまま当てはまります。
ナックル性ロングサーブをマスターしよう
数々の競技で同じように使われる「無回転ボール」ですが、卓球で、この「揺れて落ちる」に近い特性をサービスでだすには、ある程度の空気抵抗が必要です。
そのためにはロングサーブでのナックルサーブを身につける必要があります。
自分の得意なサービスと同じモーションから、パパンとナックル性のロングサービスを織り交ぜるのは有効的です。
温存しておいて、ここぞという時に出せばサービスエースを獲ることも可能です。
ナックル性ロングサーブを出すコツ
卓球のサービスは、他の競技と違い、卓球台に2回バウンドさせなければならないので、ラケットから離れた時点で無回転でも、相手が打つ頃にはやや上回転がかかってしまいます。
これでは「揺れて落ちる」ような変化が起きません。
相手が打とうとする位置で無回転にするには、自分のラケットを離れる時点ではわずかに下回転をいれてやる必要があります。
卓球台の上をツーンツーンとボールが滑るように打ち、なおかつ空気抵抗がつくようにスピードも必要です。
ナックル性ロングサービスを受けたことのないプレーヤーにこれを出すと、最初は面白いようにミスしてくれます。
タイミングに工夫が必要
サービスで16cm以上トスしなければならないというルールができる以前は、このナックル性ロングサービスが出しやすく、ペンホルダー表ソフトの選手、河野満選手や嶋内よし子選手はこのサーブを有効に使っていました。
私もよく多用しましたが、部員から「ぶっつけサーブ」はダメとよく言われました。
自分ではそのつもりはないのですが、焦って出すと手のひらからボールがほとんどトスしていないような状態でサービスしていたようです。
現ルールでは多少タイミングが難しいですが、他のサービスとのモーションを合わせるなどの工夫をすれば、逆に効果が上がるでしょう。
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